スーパーに七草粥セットが出ていました
お隣さんからご実家で作られた信州産の特等米と
野沢菜漬けをいただきました
つやつやした白米は食欲をそそります
おかずは何もいりません、
炊き立ての白いご飯と野沢菜の漬物
これ以上のご馳走がありましょうか
戦中戦後の食糧難の頃
白いご飯などお正月でも口に入らず
毎日が七草粥のような食事。
七草どころか大根と青菜に僅かなご飯粒
決して美味しいとは思えなかった。
農繁期、まだ小学生ながら
近所の農家へ田植や稲刈りを頼まれると
そこでいただく三度の食事に惹かれて
いそいそと出かけた。
山盛りの真っ白なご飯を「遠慮なく食べなさい」
お代わりをし、贅沢にも玉子を落とした具だくさんの味噌汁に
山ほどの野沢菜漬けとタクアン漬けでお腹はいっぱい。
帰りに持たされる白米と牛乳は手伝いの報酬、
母の喜ぶ顔を見るのは嬉しかった。
幼かった妹は降る雪を見上げて
「白米の雪が降ってきた」と叫んだ。
街中の大人も子供も
闇米取締りの目をかいくぐり
農家を訪ねて食料を乞う日が続く
線路際の雑草は摘み取られ
農家が捨てた枯れた大根葉を拾い
東京では闇物資を嫌って
わずかばかりの配給食糧のみで暮らす裁判官一家が餓死したという。
物々交換、夜中に父が農家へ運んだ総桐三段重ねの箪笥は
わずか一斗(一五キロ)の米に化けた
贅沢三昧の今
銀シャリを噛みしめながら苦しかった時を遡る夕餉でした。