茅ヶ崎の風日記


by slowlifek
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

2014年 10月 12日 ( 1 )

赤い靴

朝から続くどしゃぶりの雨

こんな日に何も行くことはないのにという

回りの心配を振り切って出かけた。

何か月も前からチケットを購入して楽しみにしていた映画

雨に濡れて風邪でも引いたらと案じるものの

これは是非見なければならないというある種 使命感のような思いに駆られる。

e0143690_5222863.jpg



1950年、まだ少女だったころ。

転校先の新設校はバラック紛いのみすぼらしさ

同級生たちの好奇な目にさらされて転校生はどうにも馴染めなかった

そんな時、新たに担任になられた先生はなにくれとなく面倒を見てくださった。

その頃珍しかったサイドベンツジャケットをスマートに着こなした30代の青年

とても貧しい地方の英語教師には見えない。

憧れの先生は時々教科書から離れ映画の話をされたが

「赤い靴」の話は少女を虜にした。


どうしても見たい、

けれど親の許しが出ないことは解りきっている。

そこで先生や同級生と一緒だからと親を騙し、一人名古屋の映画館へ行った。

まだ焼け跡の残る名古屋駅ホームは板張り

何処をどう歩いたのか、映画館の名前も建物も覚えていないが

駅員さん、お巡りさんに訊ねて辿り着いたような記憶が微かにある。



初めて見たカラー映画の中で踊りまくるようなモイラシアラーの美しさ

バレーの華麗さに口は乾き 体は硬直したことを思い出す。

その後、父兄会などでこのことが親にばれることを恐れ

思い余って先生に直訴した

生徒の訴えをしっかり目を見つめて聞いた先生は片目をつぶって

「いい映画を見てよかったね」


65年後、ブログのおかげで

淡い想いを抱いた先生の消息を知ることになり

手紙でのお付き合いが始まった。

100歳近い先生は、お元気で文学活動を続けられている。

e0143690_6242954.jpg

[PR]
by slowlifek | 2014-10-12 06:38 | 映画 | Comments(22)