横浜新港埠頭
張り切って出かけたのに時間も場所も間違えて
2時間余りを思案している時、
声をかけられた幾つか年上の未亡人という人、
しゃきしゃきとした口調で思い出話に時間が過ぎる。
出港間近の海王丸では
国交大臣など来賓の長い挨拶の間、
直立不動の学生たちの日焼けした顔は きりりと清々しい。
見送りの家族知人の話が聞こえてくる
「あの弱虫が逞しくなって」 「反対を押し切って船乗りを臨んだ息子を今は誇りに思う」
「今でも船から引きずりおろしたい」 さまざまな家族模様がうかがえる。
ようやく登檣礼(とうしょうれい)の準備が始まる。
網梯子をするすると危なげなく登る時間は2分足らず、
よく訓練されたものだ、見ているだけで足が震える。
ヤードの定位置に着く姿を下からは悲鳴に似た歓声が沸く
準備よし!
左端のリーダーらしき学生の「ご機嫌よう~」に合わせて
一斉に帽を振り「ご~きげ~んよ~う~~」の三唱に、こみ上げてくるものがある。
ハワイへの航海が無事であることを祈りなが
横浜港は出港を祝うかのようによく晴れた日だった。
身も心もすっきりとした帰途、
横浜公園で見事なチューリップを見ることが出来ましたが、
また後日にします。
登檣礼(とうしょうれい)とは帆船の出航時に船員が帆桁(ヤード)などに配置し、
見送りに来た来客に対する謝礼を意味する儀式。
なお艦船の場合は「登舷礼(とうげんれい)」が行われる。
由来としては、
乗組員を帆桁という戦闘準備が出来ない位置に配置することにより、
船内で砲の弾込めなど戦闘を企図した行動をしていないことを
相手に証明するという行動が元になっている