これも人生か

「〇〇子が倒れましてね、

今はなんにも解らず 息をしているだけの状態です。」

ある女性のご主人から電話があった。

今は身動きもままならないという。

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はたちの若さで結婚したその女性は、新婚4か月で夫に先立たれた。

我が子を失くした姑は嫁である女性に残って欲しいと縋ったが、

振り切って実家に戻った。

落ち着くはずの実家には、

夫を戦争で亡くした母親が働きながら、倒れた祖母の面倒をみていた。

戻ってきた娘は仕事の傍ら 当然のように祖母を任された。

32歳になって、ようやく祖母の介護から解き放されると

時を置かずして母親が倒れた。

知人が持ってきた再婚話も断って

昼は仕事をし、夜は病院に寝泊まりしながら、何を楽しむことなく

母の介護にあけ暮れる日が それから20年余り続くことになる。


ふと気がつくと彼女は50歳を幾つか過ぎて、

次は自身の行く末を思う年になるも

先ず、定年までは働かねばならない。

「車の運転が出来るうちに富士の樹海に入りたい、、、」

会えば身の上話に泣いていたが、

定年間近いある日を境に突然訪ねてこなくなった。

案じていると、初老の男性とお付き合いが始まったという。

色白の頬を染めながら「結婚することになったのよ」

我が家で ささやかなお祝いの食事をしながら嬉しそうに語る顔は

今までに見たこともない晴やかさだった。



再婚同士の明るいご夫婦だったのに

それから2年もせずに彼女は倒れたという。

結婚されてからは年賀状だけのお付き合いになっていたが、

ご主人がパソコンで代筆をされていたらしい。

その心境は如何ばかりか。

自分さえ解らない状態と聞き

あの人はどんな星の元に生まれて来たのかと

やりきれない思いに胸がつまる。
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by slowlifek | 2013-11-05 19:31 | 友人
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